2008/02/26

変わりゆくメディア

今週の週刊エコノミストの特集「テレビの憂鬱」は、とても面白かった。日本のテレビ局がビジネスモデルの大きな転換を迫られていることはネットブーム以来長らく論じられてきたことだが、テレビ局の対応策はまだまだ本腰とはいえないような施策ばかりである。

日本でもインターネット広告が、とうとう雑誌広告の市場規模を抜いたとの報道があったが、ある広告会社の調査によれば、スウェーデンでは今年中にインターネット広告市場がテレビ広告市場を追い抜き、英国とデンマークでも同じことが起きる可能性が高いという。日本においても近い将来には当然起こりうるシナリオであろう。

日本のテレビ局による消極的かつ受動的な通信・放送融合の取組みに対して、米国のテレビ局はかなりプロアクティブに動いているようだ。ネットや携帯、さらに「アウト・オブ・ホーム」と呼ばれる、スタジアムやモール、病院、学校、バー、ガソリンスタンドなどにおかれるディスプレーにも、コンテンツを積極的に供給しているというのだ。

様々なメディアや端末に自らのコンテンツを提供し、より多くの消費者にコンテンツを触れさせることで、広告効果を高めるとともにテレビ放送に消費者を呼び戻そうという思惑のようだ。非常に興味深い取組みである。米国企業がいかに消費者本位で、ビジネス環境の変化への対応に敏感かが見てとれる。一方で、日本のテレビ局はまさに官僚そのもの。既得権益の維持しか考えない、ぬるま湯の中でじっとしている蛙である。

そんな日本でも期待できるサービスがローンチされた。NTTによるNext Generation Networkである。高速インターネットやIP電話、テレビ電話などの一括利用が可能となるようだ。NTTとしては、「電話が誕生して以来130年ぶりの大改革」という肝いりで展開していく事業のようで、ひとりのユーザーとしてとても楽しみである。

2008/02/21

経営は精神力

昨日、冨山和彦氏の講演を聞く機会があった。主要なテーマは経営トップの資質。冨山さんの長い企業再生経験の中で培われたご意見をお伺いした。


東大法学部、司法試験合格、ボストンコンサルティング勤務、CDI設立、スタンフォードMBAという同氏のこれまでの略歴を見ると、否が応でもエリートの中のエリートとしてみてしまう。しかしながら冨山氏は、そのイメージを一瞬にして壊す。経営はそんな甘いものではない、MBAだとか会計士だとか弁護士だとか、そういう肩書きや権威ももちろん大切だが、最後は強靭な精神力があるかどうかだとするその主張には重みがあった。べらんめえ口調、ぶっちゃけトークで会場を湧かす同氏の姿に、真の再生請負人の風格と品格をしっかりと感じとることができた。ある意味では泥臭く、生々しいともいえるが、それが経営の本質なのだろう。


人間はみな弱いものだ。ひとりでは生きてはいけない。しかしながら、経営トップはそのなかにあって、他人よりもタフな精神力がなければ務まらない。冨山氏の言葉を借りれば、いろいろなしがらみに挟まれながらジレンマに陥り、のたうちまるような修羅場において、いかに冷静かつ沈着に自分で考え、判断を下せるか、これが経営者を図るものさしだ。組織や集団にはびこる異様な空気を推し切り、KYといわれようが何をされようが自分の頭で判断をすること。並大抵の精神力ではできない。


多くの企業の業績不振や不祥事の原因の根底には、KYであることを糾弾する日本人社会特有の文化にあるという冨山氏の主張にはとても同調する。模範回答を追い求めてしまう日本人は、間違いを犯すことをおそれ、自分で考えるよりも空気を読むことに勤しむ。それが集団としての決断を遅らせ、企業を致命的な状況に追い込む。

20代はカス、30代だってまだまだ勉強の世代、冨山氏の言葉が身にしみた。

2008/02/17

love earth


ずっと観たかった地球ドキュメンタリー映画『アース』を鑑賞。自然や環境、人間という存在について、改めて深く考えさせられた。特に3つのことを痛感。


まず、① 自然は何より美しいということ。映画の中では数々の絶景を目にすることができた。眩しいほどの朝日と夕焼け、煌く星空、壮大な山々、森林、そして海。何一つとっても、声が出ないほどの美しさで、まさに圧巻。人間の脳に染み込んでいる美意識の基準となっている風景がそこにあった。


そして、② 自然は偉大であるということ。衝突によって太陽への地球の角度が変化したことで、暑さと寒さという温度の変化や、季節というものが生まれ、生物が出現した。これはまさに奇跡だ。自然は美しくもあり、時に脅威をももたらす。そのような存在の前では人間は動物の一種にしかすぎないと言える。


最後に、③ 地球というのは人間のものだけではないこと。地球上には、さまざまな動物や植物が暮らしている。人間は地球の主になったつもりで、すべてを支配し掌握しつつあるが、その身勝手な行動によって、地球全体の生態系が崩れている。地球温暖化だ。このままの状態が続けば、2030年には北極グマが絶滅する。この事実は、とても心に響いた。


地球の将来をしっかりと考えて行動をしなければならないと改めて強く思った。

KYを許さない日本社会

経営コンサルタント鈴木貴博氏のコラムの中で、非常に興味深い指摘があった。


「空気読めない」の略語で一時期の流行語にもなった「KY」についてである。


場の雰囲気を壊してしまうような発言や振る舞いをすることが、いわゆるKYにあたるが、同氏はそもそもKYといって他人の言動を抑圧するようなことの背景にある次の2つの点から、KYブームに疑問を呈している。


①まずもって、KYを糾弾することがはびこる状況というのは、言論統制下のような抑圧された社会とも呼べるというのが同氏の主張だ。確かに独裁国家と呼ばれている社会では、言論の自由はなく、社会全体としてその国の方向性の空気を読むことがよしとされてきた。そう言われてみれば、日本社会も自発的統制国家とも言えなくないと僕も思う。


そして、②社会を構成する国民が、自分自身で物事を考えることなくなっていること。近年のインターネットの普及により、何か事が起きると人々は、まずネットに集まる情報を参照するようになった。自分で考えることなく、ネットに溢れる情報のなかで、主流の考え方をそのまま自身の考えとする傾向があるようだ。


同氏の上記2つの点に加え、KYブームの背景にあるものとして、間違いを恐れる日本人の特性というのも挙げることができると僕は思う。これまでの偏差値重視、学歴偏重型教育のなかでは、勉学ができることが最も優先されてきた。そこには常に模範回答があった。答えがないということはまずなかった。そんな環境下で育ってきた日本人は、何かにつけて、まずは答えを追い求める。そしてその答え以外のことを自分が言ったり、行なったりするとことを極端に避ける。しかしながら、社会に出てみれば、答えがないことのほうが多い。そんなときに世間の大多数の意見に身を委ね、いわゆる模範回答的なところから、大きく逸脱しないように空気を読むほうが楽だ。それでもって、突飛な意見にはKYとしてレッテルを貼り、みんなでバッシングしていたほうが居心地がいいだろう。


日本は、出る杭は打たれる型の閉鎖的社会だと言われる。一方で欧米諸国、たとえば米国などでは、発言の自由ならびに多様性が認められ、自分自身の意見をしっかりと持って、たとえそれが世の中の主流の意見と異なっていても、個々の主張を重んじる。前回の大統領選の際に、LAを旅行したことがあったが、そのときには、バスのなかでさえ、一般国民が熱く政治について話し合っていた。日本での選挙の盛り上がり方とは明らかに開きがある。

KYに寛容である社会こそ、真の民主主義を実現できるのではないか。

2008/02/16

お金に対する欧米と日本の認識の違い

今日のUCLA Extensionのトピックは財務指標。income statementとbalance sheetを分析したうえでプレゼンテーションをするというセッションに挑戦した。


その中で改めて痛感したのは、お金に対する欧米と日本の認識の大きな隔たり。日本人をはじめとしたアジア系人種は、お金を卑しいものと考え、借金を極端に嫌う。それに対し欧米の国々では、お金に対する欲を公言することを憚らず、借金ということに対する抵抗感がない。


このような背景から、一般的に日本企業は内部留保をため込み、配当を渋る。一方で、欧米企業は借金を駆使したデットファイナンスにより資金調達コストを抑え、効率化を優先し株主への還元を最大化する。文化的なビジネス慣習や思想の違いもあるので、必ずしもどちらが正しくて、どちらが間違っているとは言い切れないとは思うが、合理的な資本主義という視点からは、当然ながら欧米スタイルのほうが優れている。


昨今、資本主義をめぐる日本企業と外資系による激しい攻防が続いているが、日本の今後の成長を鑑みれば、日本企業もそろそろ欧米スタイルを吸収しなければならない。

2008/02/14

18歳成人を考える


これまでの成人の定義である「満20歳」が変わろうとしている。新たに「18歳」で成人とするという案が検討されているのだ。背景には、選挙権拡大による各政党の票取りの思惑や増え続ける少年犯罪への厳罰強化などがあるようだが、僕はこの論議に拙速に結論を出す前に、改めて教育の質の向上の必要性を強く感じる。


枠組みだけを変えて、18歳の若者たちに、さあ明日からあなた達は大人です、というようなことを言ったって、若者自身の意識が劇的に変化することはないだろう。日本の現状、将来、そのために自らができること、やるべきことを、若者それぞれが早期に自発的に認識できるような環境作りを良質な教育をもって達成していくことこそ喫緊の課題であり、まずもっと論議されるべきことだと思う。

減点主義の日本社会

よく日本は減点主義であると言われる。職場では、当たり障りのないことをほどほどにこなし、会社の従来の慣習に従うことが重視され、突飛なことをやろうとすればほどなく叩かれる。会社単位でも、何か新たな取り組みをやろうとすれば、伝統的な企業によって形成されているビジネスコミュニティから多かれ少なかれバッシングを受け、足を引っ張られる。

このような慣習が事なかれを重視する空気を作り出し、それによって日本独特の風土となっている。果たしてこのような社会は健全なのだろうか.....。間違いなく不健全であろう。

社会としてどんどん新しいことに取り組み、失敗したらそこから学び、次の挑戦を奨励するような空気作りをすることが、停滞し続ける日本が活力を取り戻す一助になると思う。

2008/02/08

グローバルスタンダード or ローカル文化

UCLAの課題エッセイ第二弾。

ハーバード大学(MBA)を卒業し金融会社に勤めるMay女史のストーリー。


Mayは入社以来、その卓越した能力をいかんなく発揮し、まさに出世街道まっしぐらであった。 その金融会社では出世のためには海外支店のマネージャーで実績を上げることが登竜門とされ、Mayはアフリカ支店のアシスタントマネージャーのポジションに挑戦することになる。

しかし、ここで彼女は人生で初めて大きな壁にぶつかる。アフリカ独特の男尊女卑の文化である。

アフリカでは、お金を扱うようなことに関しては、権威ある男性がすべてを取り仕切るのが常識であるため、アフリカの顧客はMayが対応をするのを嫌がったのである。彼女は上司であるマネージャーにも相談をした。しかしながら、彼はアフリカではアフリカのやり方があると突っ撥ね、女性蔑視とも言えることアフリカのビジネススタイルについては、疑問すら呈さない。

このときあなたがMayの立場だったら、どうしますか? というのが今回のお題。

The most important thing is definitely May’s philosophy.

There are some possible priorities such as a successful career in the current company, pride as a woman, and a future career track. I think she should act based on her own philosophy and life plan.

It is easy to understand the experience in Africa has affected her own self-esteem because she has had a successful career so far, but at the same time it might be a good opportunity to help her grow in the work.

If her top priority is a successful career in the current company, she needs to accept the local culture and business custom, and follow her boss’s instruction in order to facilitate smooth business in Africa. We need to cherish local business ways as well as women’s human rights. Her thought is right in terms of women’s rights in the global business scene; on the other hand African business ways are also right in the local community. Both opinions are true. If she wants to get ahead in the company, she needs to think about the best solution for the company first.

Secondly, if she prioritizes her human rights as a woman, she should fight against the African ways of doing business. Forming a women’s organization to change the local culture to the global standard might be one option. She can sue the African company and her boss if needed.

Lastly, if the top priority for her is a future career track, she should quit the company immediately and find another work environment where she can take advantage of her excellent business skills fully, which would make her feel comfortable.

In summary, I think she should make a decision based on who she is, what she wants to do in the future and her mid-term and long-term life plan.