2008/06/01

マスメディアは必要か


これまでもインターネット台頭によるマスメディアの変質というテーマについては、「明日の広告」や「TVCM崩壊」などの書籍をはじめ、いろいろな文献を読んできたが、この「グーグルに勝つ広告モデル マスメディアは必要か」は、広告業界およびコンサルファームでの経験がある筆者ならではの大局的な視点が非常に素晴らしく、とても読みごたえがあった。
単にネットを取り入れた新たなマーケティングという戦術論に終わることなく、インターネットによる社会構造の変質を客観的に捉えて、その上で、各マスメディアはどのようなアプローチで儲けるビジネスモデルを構築していけばいいのかということを鋭くまとめる本著は、まさに業界関係者必読の一冊。
まずもって、インターネットをはじめ既存四大マスメディアをプロットすると、ネットは「セグメント化されたターゲットに感情的・情緒的表現でもってしてリーチできる初めてのメディア」であるという指摘は非常に分かりやすく、ネットの特性をうまく言い当てている。
そして、インターネットが台頭する中での、TVや雑誌、ラジオ、新聞の生き残りのための戦略展開の提言もとても納得感があり、いろんな発見があった。
さらに、中長期的にはインターネットは、近代民主主義を崩壊させるとともに、大衆の知識レベルを低下させるという指摘は、
僕もその通りだと感じる。ネットは民主主義をさらにエンパワーメントするという見方が一般的ではあるが、筆者が言及するように個人主義やアナーキズムに傾倒する可能性も否定できない。
これまで絶大的な権力を有していたマスメディアが戦略転換を迫られる今という時代に遭遇できることはとてもエキサイティングなことだと改めて思った。

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