年末年始は読書に没頭しようと思って買い込んだうちの一冊。やはり大前研一氏の主張には、いつもとても共感できるし参考になる。自分の中ではここ2、3年で読んだビジネス本のなかでベストと呼べる名著の仕上がりだった。成長していると言われているもののその実感がいっこうに湧かない日本経済、迷走する政局、打つ手がない外交、年金問題に代表される官僚の腐敗など、今の日本は四方八方を塞がれており、国民はもんやりとした不安を常に抱き、年中曇り空の下で過ごしているような感じだ。僕も来年30歳という節目の年を迎えるが、将来に対する不安はつきない。生活、キャリア、医療、年金、医療、介護などといった自分の身の回りレベルのことから、日本経済や外交、治安、教育などの国としてのマクロレベルのことまで、なんだかスッキリとせず、薄暗い小道をそろりそろりと歩いている感じだ。『大前流 心理経済学』は、これらの不安の原因をひとつひとつ具体的なデータや分析を提示しながら説明し、さらにこのどんよりとした空気が蔓延る日本を活性化するための施策をまとめている名著。経済、政治、企業経営、投資といった分野をグローバルな視点で語れる大前氏ならではの主張が満載だ。日本に大前さんがいて良かった、そう思えるような非常に中身の濃い内容に興奮しながらむさぼり読んだ。実は日本がもう一度元気を取り戻すための材料はすでに揃っている、大前さんはこう説く。カネ・土地・人、これがその材料の三要素になる。まずはカネ、日本人が所有する個人金融資産は1500兆円。実にGDPの3倍にあたるこの資産を史上まれに見る低金利の銀行預金にただたんに寝かせておくのではなく、投資ということを国民みんなが必死に学び実行することの必要性を力説。そして土地、日本は国土が狭く土地が足らないと思われがちだが、それは間違いで土地の使い方が下手なだけだ。最後に人、学力低下が心配されて久しいが、日本人全体で見ればまだまだ平均学力は高い。この三要素の活かし方を替えるだけで日本は大きく転換する。これを実現するのが大前さんがこの本で提唱する心理経済学、つまり日本人の考え方を変えていくというものだ。そしてこの日本人の考え方を変えていくために有効な次の施策を7つ提示している。
①金利を上げる
②相続、贈与等に関する税制を見直し資産の若年層への移動を早めにする
③住宅の建て替えを奨励する
④アクティブ・シニアのコミュニティを作る
⑤いくらあれば生活できるのかライフプランを提示する
⑥ベンチャー企業のエンジェルになる
⑦資産運用を国技にする
どれも非常に示唆に富んでいてとても参考になる案ばかりであった。個々の施策については、自分なりに勉強を進めていこうと考えているが、まずもって今後は自分のやりがいに加えて、将来の日本を元気にしていくというような視点で様々な仕事にどんどん挑戦したいという思いが強くなった。